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松宮慎治の憂鬱

'04京都橘高校卒→'08大阪教育大学卒、私立大学に職員として奉職→'17広島大学大学院教育学研究科博士課程前期高等教育開発専攻修了,そのまま後期課程在学中。とあるきっかけ(http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2015/01/10/050000)があって、実名でブログを始めることにしました。特に憂鬱なことはないのですが、大学職員仲間がタイトルを考えてくれたので、そのまま使います。

伊藤修一郎著『自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及―』(慶應義塾大学出版会)を読了

修論のために読んだ。
地方自治体が政策を採用するとき,介在する3つのメカニズム(「内生条件」「相互参照」「横並び競争」)による「動的相互依存モデル」の実証研究がこの論稿の要諦である。
「動的相互依存モデル」というのは,国と自治体との関係を「相互依存モデル」とした村松岐夫の研究を修正したものであり,自治体同士の水平的な関係や,環境条件による影響を変数に組み込んでいる。
また,実証の素材として情報公開条例,環境基本条例,環境アセスメント制度,福祉まちづくり条例をとりあげ,議会資料等によるマクロ分析と,イベントヒストリー分析による実証が行われている。
こちらの著書は筆者の博士論文が書籍化されたものであり,章の構造そのものも勉強になる。

第Ⅰ部 理論的検討
 第1章 自治体政策過程の理論モデル
  第1節 従来の地方自治研究
  第2節 動的相互依存モデル
  第3節 実証の枠組み
 第2章 政策波及と総体レベルの研究
  第1節 波及研究の展開
  第2節 政策波及の様態とメカニズム――基本モデル
  第3節 政策波及のモデルの展開
  第4節 相互参照・横並び競争概念の具体化
 第3章 政策決定要因と個体レベルの洞察
  第1節 政策決定要因の分類
  第2節 政治要因
  第3節 社会経済要因
  第4節 波及要因
  第5節 統合の試み――動的相互依存モデル検証のための仮設
第Ⅱ部 マクロ分析――総体レベルの政策波及研究――
 第4章 政策波及のマクロ分析
  第1節 情報公開条例
  第2節 環境基本条例
  第3節 環境アセスメント制度
  第4節 福祉まちづくり条例
  第5節 4政策の波及比較
第Ⅲ部 比較事例研究――個体レベルの政策過程研究――
 第5章 情報公開条例の制定過程
  第1節 政策準備過程概観
  第2節 事例研究
  第3節 事例研究のまとめ――4県の比較
 第6章 環境基本条例の制定過程
  第1節 制定準備過程概観
  第2節 事例研究
  第3節 事例研究のまとめ
 第7章 環境アセスメントの制度化過程
  第1節 制度化準備過程概観
  第2節 事例研究
  第3節 事例研究のまとめ
 第8章 福祉まちづくり条例の制定過程
  第1節 制定準備過程概観
  第2節 事例研究
  第3節 事例研究のまとめ
第Ⅳ部 統合――統計分析による動的相互依存モデルの検証――
 第9章 イベントヒストリー分析
  第1節 個体レベルの仮設群と独立変数
  第2節 方法論
  第3節 情報公開条例の制定要因のEHA分析
  第4節 4政策の比較――動的相互依存モデルの検証
 終章 動的相互依存モデルと自治型の政策過程
  本研究による発見のまとめ
  本研究が示唆するもの
  残された課題
 補論

政策の国から自治体への垂直的波及と,自治体同士の水平的波及の考え方は,大学にもあてはまるので,大変勉強になった。

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及