松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

公開情報を利用した私立大学教職課程のベンチマーキング

教職課程においては、教育職員免許法施行規則の改正によって、各種情報の公表が義務づけられることとなった。

http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2014/11/01/120048

この「情報の公表」を利用して、勤務先の教職課程のベンチマーキングを行えないかどうか検討している。
具体的には、公立学校の教員採用試験の合格者数と、各大学(学部)における入学定員、免許状取得者を比較し、勤務先の教職課程がどのレベルにあるのかを検証しようとしたのである。
また、その際、合格者数を従属変数とした場合に、どういった独立変数が従属変数に対して効果を持つのかを併せて見てみたいと思っている。

以上の問題意識に基づき、まずは関西圏の私立大学のホームページを見ているのだが、大きく2つの問題がある。
第1の問題は、そもそも情報が公表されていない、ということである。
前述の施行規則は努力義務ではなく義務なので、公表していないということは法令違反である。
もちろん罰則規定がないので、具体的な損害は生じないのかもしれないが。
第2の問題は、正規採用と非正規採用が区別されていないケースが多すぎる、ということである。
区別が明記されていない場合は、忘れたのかな、どっちだろうと思うが、問題だと考えるのは意図的に正規採用と非正規採用を混ぜて記載しているケースである。
もちろん、施行規則ではそこまで厳密な公表は求められていない。
しかしながら、ステークホルダーが知りたいのは正規採用かどうかということであって、非正規採用と丸めた数字を示されても判断のしようがない。
「うちの実績で本当のことを出したら、学生募集に影響があるのでは…」といった感情が働いているのかもしれないが、そのような一時的な逃避は意味をなさないのであって、社会のためにも積極的に正確なことを公表していただけるとありがたいと考える。
キャリアセンターが、正社員と非正社員を丸めて報告していたら、それは情報としてほとんど意味をなさない、「白い嘘」だと言われるだろう。
同じことが教員採用という特定の進路を念頭に置いたもので、許されようはずもない。

なお、勤務先では、正規・非正規の別はもちろん、同意のとれたものについては氏名まで公表している。
元々、勤務先の実績で数字だけ示しても勝負できないと考えたのが、この始まりである。
氏名まで公表すれば、担当者がそのように学生と信頼関係を結んでいることや、一人ひとりを集合ではなく個人として大切にしている暖かな姿勢が、せめて伝わると考えた。
https://www.kobegakuin.ac.jp/facility/tec/
また、現在は、これくらいの実績があれば勤務先よりも威信が高い大学と、比較的いい勝負ができているのではないか、と直感している。
この直感をデータで立証し、学内に共有することで学生に自信をつけたいと思っている。
そういう思いからの冒頭のデータ収集であるが、既述のような理由からうまく進まない。
年度違いを許容したり、正規・非正規の別がわからない機関は分析対象から外す等して、できる限り整合性のあるデータを集めるしかないかもしれない。