松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

教職課程認定事務担当者説明会の内容報告

【お願い】
以下の記述は,平成27年度のものです。
平成28年度の詳細は,こちらをご覧ください。(2017.2.12追記)

kakichirashi.hatenadiary.jp
(2017.2.12追記)

メモ程度ですが,もし参考になりそうならご覧ください。
あくまでも私のメモですので,内容の責任はすべて私にあります。

こちらの方も併せてみていただいた方がいいかもしれません。
少人数だったので,より深いところまで議論できました。
shinnji28.hatenablog.com

1.制度改正等について(山下恭徳氏:初等中等教育局教職員課教員免許企画室長)【午前の部】

・500大学900名の参加
・平成10年以来の大きな見直しの議論をしている。その内容と今後の方向性について報告する
・養成,採用,研修は主体が異なっていた。この接続をなんとかよくしたい
・昨年の文部科学大臣の諮問を受けてこれまで議論を進めてきた
・今日は教職課程の見直しを中心に説明する
・背景として大きいのは,大量退職,大量採用による不均衡である。経験年数を見たときに,今1年目から5年目の先生と,50歳以上の先生が多くなっていて,学校を支えていかなければいけない30代,40代のところが大きくへこんでいる
・そうした中,この間をつないでいくミドルリーダーがいないことが問題になっており,意思疎通がうまくいかない,あるいは退職間近の先生の経験や技術が若い人に伝えていくことが,従前より難しくなっている
・新学習指導要領についても,来年度に答申が出る予定になっている。この中では,アクティブラーニングの視点からの授業の必要性,カリキュラムマネジメントの考え方,教科外国語,特別の教科道徳,ICTの利活用,特別支援教育,といったさまざまな課題への対応が議論されている
・こうした課題に適切に対応していくためには,組織的に対応したり,学外の専門家を招き入れたりすることが必要だ(「チーム学校」)
・養成のところでは,教員となるべき最低限の資質能力,知識を身に着ける場所だという位置づけをはっきりさせ,そこで何を学んでもらうのかという視点で議論されている
・養成段階での課題は,現場の実際を体験させる機会の充実である。学校の現場がどのようなものか,ということをイメージしつつ採用されるようにしていくことによって,ある種のギャップを埋めることが望まれる
・教職課程の質の保証・向上が重要になってきている。900以上の大学で2万以上の教職課程が整備されている。その結果として,免許状を授与される人が一定数確保されており,それが質の維持に担保したのは間違いないが,中には形骸化しているものがあるのではないか
・従来の新たな課題が生じてきた中で,従前以上に質の高い教育を行っていく機運が社会的にも高まっている
・教科に関する科目と,教職に関する科目(特に指導法)との連携が必ずしも十分ではなかったのでは,という指摘があり,重要な改善点となっている
(答申の具体的な内容)
・必要な単位数は増加させないことを前提としてきた。単位数を増加させるという視点もありえたが,学生の負担や科目の新たな開設に伴う大学の負担が懸念されたので,スクラップをしながら新たな科目を検討することとした
・特に国立の教員養成系はモデルを示してほしい。また,学校種ごとの特性を踏まえつつ,科目区分を撤廃して,新たな課題に対応しやすい弾力性ある教職課程を編成したい
・現在の教職課程は免許法で単位が限定されており,ともすれば硬直化していた部分もあった。今回の見直しは,総単位数のみを規定し,中区分以下は柔軟に検討できることを目指している。また,教科と教職の一体感がより出るようなくくりを考えている
・学校インターンシップについては,もうすこし学校現場や教職を知る機会として利用したい。従来の教育実習は短期集中型で授業もしくは学級中心であったが,学校インターンシップは1年スパンで週に1回程度でも,学級だけでなく事務的なものも含めたさまざまな活動を知る機会として考えている。既に一部の大学では取組みが進んでいる。しかしながら,一律の義務化というのは,大学側にとっても受け入れる学校側にとっても厳しいだろうと考え,各大学の判断に任せることを検討している
・教職支援センターやカリキュラム委員会といった,全学的に教職課程を統括する組織の努力義務化や,自己点検・評価の実施(の努力義務化),第3者評価(長期的課題だが),担当教員の,新たな課題に対応するためのFD(とりわけ学校現場を体験するような実践的なもの,アクティブラーニング,ICT)等を求めていく
(見直しについての具体的なイメージ図について)
・3区分を外して,教科と指導法の関連をより強くしたい
・従前のように教科に関する科目と指導法を別個に設けることももちろん可能。一方,融合科目の設置も可能にした
・ポイントとして申し上げたいのは,各教科の指導法の中にアクティブラーニングとICTの利活用を位置づけていること
・特に小学校の養成課程では,外国語教育の充実が図られようとしているので,その部分の指導法を小学校については特に追加した。これを除いて,基本的な視点は中高も小学校とほぼ同様である
・免許法の施行規則に改正作業を行い,今パブリックコメントをかけている。小中一貫の義務教育学校制度が来年度から開始されるが,今回の制度改正によって,義務教育学校では併有が望ましいこととなった。これを促進するため,現職教員のための軽減措置(勤務経験を1年に対して3単位)を講じた。専攻科での単位数も大学等が認めればOKとする等
【質問】
・幼稚園教員養成課程における教科と教職のところは大幅に認識が変わっているのではないか?
→従来の小学校の教科に準じた形から,5領域(教科→領域)へ表現ぶりが変わっている。しかし,従来から教科といいながら領域の内容に引き寄せた形で開設をし,実施されていたのではないか。より適切と思われる方に表現を規定した。実際には現在の開設科目と大きな変更を求めることにはならないと思っている
養護教諭課程の場合についても見直しの趣旨(5領域にわかれる)ことは同様か?
→今回の答申の中で射程としてきたのは,幼小中高である。今回の議論では養護教諭については直接的な議論はされていない。その分野から意見が出た場合に検討することになるかもしれない
・課程認定の大体のスケジュール感は?
→資料3はイメージであり,まだ不確定要素がある。今回の見直しは新指導要領と連動しているので,これを横目で見ながら検討しなければならない。新指導要領は来年度中に答申を出し,来年度いっぱいくらいに示される。我々の見直しもそこの細かい変更も見て見直す。早くても29年の3月,4月以降に教職課程の見直しが固まることとなる。同様に再課程認定をしようとすると,前回より時間的猶予を持たせるならば,2年程度の期間をイメージしている。今後のご事情を聴きながら,スケジュール感は詰めていきたい
栄養教諭も今回の見直し案に含まれていないということか?であるならば,再課程認定申請の対象からは外れるのか?
→そのあたりはしっかり詰めていない。
・現在,専任教員は教科ごとに配置される。教科と教職が統合された場合,そこはどうなるのか
→まだイメージの議論が進んでいるだけで,運用をどう変えるのかは議論していない。ただ,あまりにも抜本的な変更は考えておらず,現在の延長戦上での変更を検討している

2.課程認定申請に係る各様式の注意点(山口大地氏:文部科学省初等中等教育局教職員課免許係専門官)【午後の部】

・申請の要否について,③と⑤に変更がある。「要相談」に変更された
・明確な様式の変更はないが,記入上の注意点に変更がある
シラバスの「テキスト」等について,「未定」「空欄」を用いず,ない場合は「特になし」と記載すること。また,著者名・出版社名が必要
・共著について,総ページ数と,「共同研究により抽出不可能」の場合の役割について,「実験等の手伝いをした」「資料の収集した」等を超えるものを記載すること
・基準の改正の共通開設についてであるが,共通開設であるからといって一校種だけで限定されているのはダメ
・教職課程認定審査の確認事項の改正について,現在の最新の基準に基づいて適合しているかどうかが前提となる。一方的に変更届で提出された場合,改めて課程認定申請を要求することがあるので,必ず事前に相談してもらいたい
・履歴業績について,大学によっては専任だけでよいのかという質問もあるが,兼担・兼任も含めて必要である
・様式第8号イについて,該当する組織や取組みがない場合は「なし」と記載すること。が,全くないということはそもそも不適当である
・様式8号ウでは科目を列記するのではなく,到達目標を書く
・様式8号ア,イ,ウは連関するように作成してほしい。また,授業科目と学則の名称が一致していない大学が1割程度存在するので,確認を十分行ってほしい
・様式8号の記載にあたっては,学位プログラムと教職課程との相当関係を意識してほしい
・様式第1号の日付は,持参いただく日にしてほしい。また,法令用語を転用しているので,文言は変更しないようにお願いしたい
・様式第2号では,学科を新たに作成する場合,設置の方から注文がきて名称が変更される場合がたまにある。その場合は速やかに連絡し,差し替えをお願いしたい
・様式第2号であるが,担当教員がいない状態で初年次から出発することはできない
シラバスについて,授業計画の1回を試験に費やすことや,出席点で評価することは不適当である
・教科に関する科目に指導法としての実践的な内容が入っている場合や,指導法に教科に関する科目の内容が入っている場合がある。こうしたことのないよう差別化を十分行ってほしい
・教職実践演習は20名程度の規模が望ましい。また,教職に関する科目の担当教員と教科に関する科目の担当教員が協力して行うこととされている
・教員審査は尊重されるだけで,自動的に認められるものではない。たとえば,10年以内の担当業績としたときに,時間経過によって提出できる業績がなくなってしまったケースがある
・業績については,コラム等の簡単なものではなく,大学教員としてふさわしいレベルのものが望まれる。大学によっては,概要欄に「○○(担当科目)と関連がある」と記載されることがあるが,そのようなことをしなければならないという点で問題があり,そうしたことを書かずとも直接的な関連があることをわかるようにしてほしい
・「この教員で大丈夫か?」と確認を求めてくることがあるが,ふさわしい教員を判断できることそのものが大学の能力であるから,そのようなことを言ってきた時点で疑いの目で見てしまう
・教員の変更は,やむをえない理由以外ではできない。また,やむをえない理由であっても,事由が発生した際に連絡するのを忘れないでほしい。申請中であれば差し替えも可能であるが,申請書を送付したあとに連絡をもらうと厳しい。取り下げてもらったケースもある
・申請書の提出は必ず期日までに。実際に1年間待ちぼうけをくらった大学もある