松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

広島大学高等教育研究開発センター 第43回研究員集会「大学の統合・連携とガバナンス:地域分散,適正規模,機能分化の在り方を巡って」に参加

報告を作ってすっかり忘れていましたが、標記の会に参加しました。
こちらに参加していたため、久しぶりに勤務先の学祭に参加しませんでした……。
以下の記述は全て掲載の許可を得たものではありません。
問題があればご指摘ください。

日 時:2015年11月3日(火)13:00~17:00
会 場:広島大学学士会館2階 レセプションホール
テーマ:大学の統合・連携とガバナンス:地域分散,適正規模,機能分化の在り方を巡って
所 感:

 私立大学の関係者としては、両角先生のご報告や、セッションの最後の方にあった私立大学の今後をどうしていくのか、といった議論に関心をもった。それまでの議論はどうしても国立大学に焦点化されていて、個人としては若干の消化不良感、「ついていけない」感をもっていたからである。
 統合について、両角先生は調査内容的のかかわりから詳細な言及を避けられたが、昨今では両角先生が事例に挙げられたもの以外のパターンが出てきている。具体的には、(1)小が大を吸収する(2)双方ともが定員を割っている(3)関係性が必ずしも明確ではない(宗教が同じ、執行部が近しい等がない)、といった条件による事例である。私立大学の今後の運営では、経営破綻によって破綻した側が引き受け手を模索することにより、これまでとは異なる多様なケースが発生してくることが予想される。そうした、「やむにやまれぬケース」がより焦点化される時期もいつか訪れるのだろうか。

内 容:

セッション1―基調講演―

基調講演1 目指すべき機能の分化・強化と大学の適正な規模・範囲・形態を考える(羽田貴史先生、東北大学

・落日の日本と大学の果たすべき姿ということを中心にお話ししたい
・大学の果たす役割は多元的なので、環境変化に対応した組織形態が必要
・経済停滞打破に従属しても大学の使命は果たせない
・東京一極集中と地方人口減に国も大学も向き合っていない
・統合による総合大学化は条件のそろったものはすでに終了していて、有力な選択手段ではない
公立大学の資源では地方再生に十分ではないので、設置形態を超えた連合形態が検討された方がよい
・本当はシステムが大事なのに、その専門家のいないところで教育の内容や方法が議論されている中教審の審議には問題がある。職業教育にしても、教育再生実行会議の下請け機関化によって起こっている
・連携や協働を議論していくと「統合」ということになるので、センシティブな話題でもある
・学士課程答申は2000年以降で一番よい答申だと思っている
・組織の統合はよいが、アジェンダは?そこが経済停滞の打破でよいのか?という問題がある
・大学での人材育成が遅れて日本が低成長になったという経済学者は1人もいない。金融政策の失敗や景気からの回復困難、非正規雇用の拡大によるOJTの低迷等がその原因である
・大学ランキングを上げたら世界に褒められるかもしれないが、日本社会には何の貢献もしない可能性がある(授業料を上げればポイントが上がる、商業ベースの論文データベースに掲載されれば上がる、収入でしか産学連携について評価されない等)

●東京一極集中と地方人口減

・地域の不均衡の中で人口減がおこっている。2013年以前は政府の方針にほとんどこれへのケアが入っていなかった
・1年前からようやく政府筋で取り上げられ始めた(「まち・ひと・しごと創生本部」)
・2006年くらいから、東京と関西、特に政令指定都市に大学が集中し始めた。東京と京都以外大学進学率は下がっている。そこの2か所が上昇しているだけで、地方は下がっている。地方の崩壊というのは高等教育の観点から見ると既に始まっている
・こういった問題を解決するためには、多層的な大学組織論との接点研究が必要
・みんなが強みと特色を追求していった結果、日本全体のシステムがよくなることはない。これを経済学で合成の誤謬という

●大学の統合

・大きな大学の規模より小さな規模の大学の統合が有効
ルーマニアでは国内の性質に合わせたランキングを用いている
・「連合」か「統合」か。前者では財政的な負担がかえって大きくなるので、後者の方がよい。国家システムとして政府が中心となって行う「統合」が中心になりつつある。日本は実は統合経験は山ほどある
・一極集中・地方人口問題対応のための強力な大学を創出する必要がある。非常に難しいが、設置形態を超えた大学法人制度があった方がよい。なぜ難しいか。最も大きいのは国境より厚くて高い省庁の壁だ
・各大学の独立性を維持した連合大学制度の方がまだ可能性があるが、今は大学院レベルでしか認められていない。これが学士課程まで降りてくるかどうか

質問

・全体の規模についてどのようにお考えか?(山本眞一先生)
→学士課程答申では「増やすべきだ」と言っているし、アメリカでも「世界と比べて劣っている」と言う。適正規模にはあまりが関心ない。社会的にコントロールできないのではないか。何が適正かというのはその時の需要と均衡でしか存在しないと考えている。コントロールすべきは規模ではなく配置ではないだろうが
→よくわかるが、私学は現に存在していて、配置転換も難しいだろう。多くの私学関係者は自分たちの大学を潰したくない。関係者はどうソフトランディングすればいいだろうが(山本先生)
→先生のおっしゃる適正規模を追求すれば、どんどん東京一極集中になるのではないか。また、東京の中でも一極集中が進んでいる。今の私学規模を維持すれば東京一極集中になる。その結果地方が衰退していく。適正規模を単体で論じるのは難しい。配置と一緒に考える必要がある

基調講演2 大学の多様な形態:連携統合に関する国内外の取り組みから(小林信一先生、国立国会図書館

●議論のトレンド

・経営的観点+手続き的(法的)観点から(90年代)
・主として米国で、私立大学の生き残りのための吸収合併(00年代)
・特にオーストラリアとカナダでは合併事例が多く研究が盛んである
・米国では私立同士だけでなく州立が私立を吸収するケースもある
・最近では大学の競争力を意識した合併が増えている(「国の中で何番目…」ではなく)
・要するに、大学の統合のありようというのが非常に多様化している
・これまでの研究で共通して指摘されているのは、①コスト削減につながりにくい②機関がなくなる危機は回避できても、短期的なメリットはない③意味のある成果のためには、長期間が必要、の3点である

●大学統合・連携の類型

・統合・連携の類型は「合併(吸収合併)」「準自治的統合」「合同」の3つである
・しかしそれ以外に、①連合:一法人複数大学、公立大学法人、系列法人②提携:一大学複数法人、海外分校など③複合的統合(二重構造、複数の統合形態の組合せなど):連携大学院と研究機関、総研大と共同利用研、専門が高の大併修など④提携:一大学複数企業、インダストリアルPh.dなど⑤コンソーシアム(共同出資・共同事業):Doctoral Training Centerなど、がある
・世界ではかなり大胆な統合・合併が行われている。たとえばドイツではカールスルーエ工大学とカールスルーエ研究センターが合併した。このことによってエリート大学の1つとなった。ただし、資金は二重ルートのままであった
フィンランドにはイノベーションを目指して、工学、ビジネス、デザインの分野を統合した大学がある:Aalto University;ヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学、ヘルシンキ芸術デザイン大学

●多様な統合・連携

・戦略面:コスト削減や生き残りが主目的にはなりにくい
・内容面:新しい価値の創出;デザイン、イノベーション基盤、学際性、総合性
・制度面:高等教育構造改革;二元制改革、ボローニャ・プロセス対策
グローバル化国際競争力担保のため、大規模化によるプレゼンス拡大や研究機関との統合による研究強化も志向する

質問

・Aalto Universityが成功している背景は?
→成功したとはまだまだ言えないが、世界的に評判がいいのは確か。元々この3大学は連携していたし、単に合併したのではない。「新しい価値を生み出すためにどうすればいいか」という目的が合致していた。新しい価値を生み出す「デザイン思考」の3つの価値が目的となった

セッション2―論点提起― 大学の多様な形態から「適正」を論じる:連携統合を事例として

論点提起1 組織の多様な在り方に関する論点提起:組織関係・連携論からのアプローチ(山倉健嗣先生、横浜国立大学

・大学の将来ビジョンのためにどう「自己変革」すればよいのか、という発想は経営者として違和感はない
・大学の強みを確認し、他組織との関係をうまく生成して展開していくことが重要。そのとき、「何ができるのか」を自ら設定し、それが本当に自分でなければならないのか考えることだ。足りないことは他から補完すればよい
・組織間の共同行動(Joint Acton)が大学でも大事になってきているのだろう
・論点はいくつかある(「数;2者、多数」「関係の期間;1回限り、継続的」「同種・異種(性格)」「地域(同一、異なる)」等)が、選択問題ではなく組合せ問題になる
・企業の合併は何度もあるが、大学はそう何度もないだろう。それが難しいところである
・フランスでは政府の誘導策のもとに設置された研究・高等教育拠点(PRES)があるが、そうでない道を選んだところもある
・組織間関係の議論は、4つのパースペクティブに集約される(資源依存、組織セット、制度化、学習)
・大学間連携・統合への視点を4つのパースペクティブから析出すると、次のとおりとなろう。①資源依存:組織間の資源交換、処分、組織の強み、パワー関係、依存関係への対応、②組織セット:組織とそれと相互作用している組織、組織内外の境界に位置する対境担当者、③制度化:組織が埋め込まれている制度圧力、組織対応としての同型化、④学習:他組織からの知識の移転と創造、他から学ぶ(from)・他と学ぶ(with)・他について学ぶ(about)
東芝モトローラとのアライアンスは非常にうまくいった。この事例からは、パートナー選択とマネジメントが大事であることや、トップ―ミドル―ボトムといった階層ごとの関係性(人を介してうまくいくかどうか)が重要であることが示唆される

●まとめ

・連携や大学は大学の戦略的課題であり、学長を中心とした執行部の考慮すべき重要な事項になるだろう
・その際のキー・コンセプトは、学習、信頼、対境担当者、パワー、パートナーの選択とマネジメントなどになるだろう
・企業の事例や組織間関係論の成果を学習することが必要
高等教育研究に多い「制度的なアプローチ」の発想を超えないといけない

質問

・強みを生かすどころか、経営破たんした大学をどこかが引き受けなければならないことが私立大学で起きている。国立大学でも同様の話が既に起きているが、そういったマイナスの視点からの統合についての知見があればいただきたい(筑波大学・田中先生)
→統合される側が「納得させられるかどうか」が重要になるだろう。する側よりされる側。救済することのメリットより、される側がどう納得するのかというヒューマンファクターを含めた問題が大きい

論点提起2 連携・連合を通じた大学の新たな形態を考える:国立大学の実際(白川優治先生、千葉大学、立石慎治先生、国立教育政策研究所

●現状整理

・「なぜ」連携するのかは、基本的には相互補完となるが、その意味合いには質的な相違がある。単位互換のような「足し算」や、経費削減・効率化のような「引き算」、共同設置のような「掛け算」がある
・教育研究活動の自己革新性が連携を誘因する内発的要因になりうる
・用いる資料として、教育活動については連合大学院と共同教育課程を取り上げる
・「業務実績の評価結果」からは、次のようなことが見てとれる。地域内連携として、教育プログラムの共同運営や事務組織の効率化・経費削減、地域拠点化や災害時の対応・協力体制等に取り組まれている。今後の方向性として、地域連携や専門の連携を深めていくことが示されている
・国立大学の連携等の現状は、①連携の誘因と発展②地域連携と専門連携の特徴③大学特性・序列を前提とした連携④設置形態をこえた連携等の進展、の4つに整理される

●教職員の問題意識

・『国立大学の多様な大学間連携に関する調査研究』(代表:羽田先生)のデータを用いて決定木分析を行う
・連携に対して学長がどう考えているのか。他大学との連携を効果的だと考える分岐点は、「今後、社会貢献活動を重視するかどうか」になっている。「現状維持」だと答える学長は、次に「今後、産学連携を重視するかどうか」が分水嶺になる
・統合に対して学長がどう考えているのか。認識の上では、そもそも他大学との統合が入っていない
・一方、学部長の意識は学長と違ってかなり細かい。最初の分水嶺は「今後、学際的研究を重視するかどうか」になる。その次が「大学間交流協定の締結件数が5件あるかどうか」になる

論点提起3 私立大学の連携統合(両角亜希子先生、東京大学

●背景

・国公立の場合は設置者からの強制力によって合併が起こることがある。一方私立の場合は自主的な選択である。どういった条件が重なって統合に至るのかが意外に明らかでない。話の重点は連携ではなく合併におく
・1月号のIDEのために定員に対する18歳人口減少の影響の分析をしている。一番厳しいのは四国、その次が甲信越である
・日本の私学は小規模である。4割が300人以下である。一般的に私学は固定的な経費があるので、小規模大学は非常に厳しい状態になる
・大規模私大の定員管理を厳格化してなんとかしようという議論があるが、質の保障のためには重要であるものの、地方小規模大学を救うとはとても考えられない
・経営困難に対する文科省の方針は、「学生は救うが大学は救わない」「経営困難に至る前のチェック・指導・相談の充実」の2つ(2005年、経営困難な学校法人への対応方針について)
・「統廃合して効率化した方がよい」⇔「大学間連携を推進している」という対立軸がある
財務省等の意見は理屈乗わからないことはないが、現実性はわからない。また、統合・連携の推進状況もよくわからない。このため、大学側の動きとその背景にある要因を具体例をもとに検討する必要があるだろう

●大学同士の合併が少ない理由(市川,2007)

・不動産を所有していたとしても売却できない
・救済を求める法人は深刻な労使間対立を抱えていることが多い
・中小法人では苦労した設立した自営業という側面がある
・国公立のような設置者による強制という要因が働かない

●合併を成り立たせるもの

・何らかの共通項があること。宗教、経営陣の共通点、何らかの繋がりが元々あり、根本理念が通低していること
・吸収する側から見て、自大学にない資源の獲得ができること
・地理的にも近いケースがほとんど

●合併の課題

・コストの問題で、吸収する側の持ち出しが相当多くなる
・移籍教員とその処遇の問題はどうしても残る。給与の差だけではなく、教員として採用されるときの基準も全然違う。こういったことが亀裂になる
・ただし、デメリットを吸収するだけの大学や、メリットがデメリットを上回る場合は合併が行われている

●公立法人化

・本当に厳しいところでは公立法人化されている
・公立化してもそれほど県の持ち出しは増えない

●高校以下との合併

・非常に増加していて、高校の側から話が持ち込まれるケースが多いようで、大学はむしろ選ぶ立場にある
・大学側の意図としては、よりよい学生を安定的に確保したいというものがある
・指定校推薦では高校の教育にも関与できないので、きちんと組んでやっていけるという良さがある

●合併にかかわる結論

・吸収してほしい大学は増えるだろうが、引き取りたい大学がそんなに増えるとは思えない。大学の運営は慈善事業ではない。吸収する側のことがもっと議論されなければならない。このため、大学同士の合併は増えないだろう

●連携:コンソーシアムの課題

・取り組み内容としては、自大学でやるのが当然の中心業務ではなく、周辺的事業が多い
・競争関係にある大学同士の連携活動をどのように支えていくか

セッション3―コメントとディスカッション―

コメント 石橋 晶氏(文部科学省高等教育局)

・経済停滞を大学によって打破しようという官邸主導の思いがあまりにも強くなりすぎている
・いったんアカデミアの世界(大学と文科省)の中で議論をしたいという思いから『国立大学経営力戦力』を策定した
・財政諮問会議では常に財政とのかかわりを問われる。それは大学間連携でもそうだ。しかし本来は文脈が違う
・戦略的な大学間連携というのは今霞が関では行われていない。ポジティブなメッセージでどこかで変えていきたい
・お金よりはムーブメントが鍵になる
・大学の管理者と文科省はどこまで対話をしてきたのか。財政的な圧力を共有してポジティブな力に変えていくことが必要ではなかったか。個々で話をするというよりも、個々の通知・メッセージを含めて対話をする必要性を感じている
・私立大学の今後については、経営が危ない大学は学生を救済するのが基本の考え方である。最後の整理はオーナーに任せるしかなく、急激な破綻に至らぬような事前の相談を充実させている。しかし、どういった状態なら適正であるかといった議論は省内ではなされていない。文科省の公式見解では、高等教育の適正規模は現在もむしろ小さいと考えていて、シュリンクしようとは思っていない。ただ、当然実際にそうなるかどうかはわからない

ディスカッション

・民間手法の導入や国立の再編統合をうたった「遠山プラン」以来10年が過ぎた。どういった評価をされているか(丸山文裕先生)
→大学の合併はいくつか進んだ。合併した大学をみていると、それまでなかった分野が繋がったことによって新しい取り組みも出てきた。これがエクセレンスの形成に応募していくときの各大学の強みになっている(白川先生)
・企業ではしょっちゅう合併されていると思うが、合併後の成果や評価にかかわる経営学の研究について伺いたい(丸山文裕先生)
→合併後の業績はマスで見た場合にはマイナスになる。プラスであるとはいえない。しかしここを乗り切っていった場合には違ってくる。微妙なところ(山倉先生)
・連携を実施していくとき、管理・運営部門に焦点化した場合に必要となることは何か(島根大学原田先生)
→業務量は増えると思うが、連携を続けていけば低下する一時的なコストではないか。事務の共通化がもっと進めばいいとも考えるが、設置形態が違い、人の流動性も低い中では困難ではないか。制約をどう変えていくかという議論が必要である(両角先生)
・連携統合を想定した人材の雇用育成促進の研究の蓄積はあるか(島根大・原田先生)
→現場というものをかなり意識した形か、独立した形か、ヘッドクオーターの育成の仕方をどうするかという問題になる。また、人事交流の問題も絡んでくる(山倉先生)
・質保証の論点によって提起された3つのポリシーは、大学の統合をしていく場合にどう整合性をとっていくのか?
→スタンダードが明確に近い関係性である必要がある。「克服できるときに統合する」ということになるのではないか(羽田先生)
→各大学に教育目標の構成を委ねてきたことが、図らずも以後違う問題として出てくるのではないか
→共同教育課程の法整備をした。共同教育課程の構築については、専攻設置で質保証をしようということになっている。学位の評価が機関別の評価だけでいいのか、といった国際的な枠組みでは、機関保証の意味がどんどんなくなる。これに議論として一緒に入っていくかどうか。もし入っていくならば覚悟がいる(石橋氏)
→「学位プログラム」はポシャった。なぜポシャったか。実際に日本の制度は「学位プログラム」でできていないからだ。機関単位ではなくプログラム単位で保証することになり、内部質保証の問題になる。プログラム単位の質保証はこれまでの日本の制度とは根本的に違うので、議論が途中でやめになってしまった(小林先生)
・大学レベルのガバナンスとプログラムレベルのガバナンスの差はどういったところにあるのか
→プログラム単位の質保証は非常に難しいだろう(小林先生)
→正規の教育課程を前提にする限り、機関単位を媒介にする限りありえない(羽田先生)
・大学の連携や統合で実現できる価値というのはどのようなものか?企業ですら市場占有率の向上を達成できない。しかしそれ以外の価値があるとのお話であった。経営学者として大学にとっての達成できる価値が何であるとお考えか(名大・夏目先生)
→インプットレベルでいえば受験生がちゃんとくること。その結果としてそこを出たときにちゃんとした学生が就職できる。一つの尺度はそれであろう(山倉先生)
・大学人の側から見て企業的な統合が本来なしうるべきだがなしえていない、大学だからこそできていない、というようなことがあれば(阪大・斎藤先生)
→最終的に制度の影響を受けている。制度を変えられるか、果たして制度の中でどこまでできるか。大学が社会の中で生き残る上では、地域との関係をきちんとつけていく、産学連携をきちんとしていく。しかし、自分たちの能力の中で制度に埋め込まれつつも制度を変えられないのか。法人化はあったが、その中でできることはなかったのか。トップがきちんとしなければ、部局長レベルではできることとできないことがある(山倉先生)

コメント

・「人」の側面が重要だと改めて感じている。連携統合みたいなものの学習が進んでいったときに、学習が何に蓄積されていくのだろうか(立石先生)
・日本の高等教育の在り方の中で、設置形態の縛りが非常に強い。国立の話をすると国立の話になる。そういった縛りが連携統合の中でも出てくる。日本のことを考えれば、全体としてどうすればいいのかという話に必ずなるので、設置形態で分断された議論を積み重ねることに問題意識を感じた(白川先生)
・「大学が変わらなければいけない」ときに統合連携は大事で、立石先生のおっしゃった「繋げる」がキーワードになっていくのではないか(山倉先生)
・大学関係者は全て大学で問題を解決しようと思い過ぎる。国会議員等の関心は初等教育や就学前教育、フリースクールといったところにもある。抜けているのが中等教育である(小林先生)
・地方創生で頑張っているところも、インターンシップで地元就職者が増えたというようなこと。それによって地域の雇用は増えたのか。今までの地域貢献事業の延長でいいのか(羽田先生)
高等教育への期待をいかに軽減させながら、大学関係者の余裕と時間を取り戻すことが自身の仕事だと思っている(石橋さん)