松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

今津孝次郎著『変動社会の教師教育』(名古屋大学出版会)を読了(5)教員養成の課題

続きですが、このくらいで最後にしたいと思います。
自分の仕事に最も関係のある「教員養成の課題」についてです。
今津先生は、この問題について4つの観点を提示されました。
すなわち、

(1)同僚教員間連携
(2)実践研究者としての教師
(3)やわらかい学校
(4)教師教育研究

この4つの観点について、「現職教育段階」と「教員養成段階」の2つの視点から何が課題になるのかを示されています。
ここでは、前の2つについて、「教員養成段階」について述べられていることを写経し、今自分が仕事の中で何をどの程度実践できているのか、考えてみたいと思います。引用の赤字は全て引用者です。

(1)同僚教員間連携
 仲間と協同で研究作業を行うスタイルを,あらゆる学習活動に取り入れること。たとえば,従来から行われてきたマイクロティーチングも,単に教育実習の予備的練習といった意義だけではなくて,教師役割と生徒役割を相互に演じながら,互いの行動を検討しあう共同研究作業という視点から見直されてよい。あるいは,教材開発を共同のテーマとして,フィールドワークやプロジェクトにチームで取り組むような学習作業が課せられてもよい。指導教官はできるだけ学生の自主的研究にまかせて,助言者役割に徹することである。
 さらには,対人コミュニケーションについての実習的な学習があってもよい。いずれにしても,教員養成段階での学習が個人学習形態に留まっているかぎり,教師発達の基礎形成を狭めることになり,学校での孤立的な教室王国的発想を打破する力にはなりにくいであろう。

これについては、どうでしょうね。
学生同士が学びあえる状況、というのは整えつつあるかな、と思っています。
そのときのキーになったのが、やはり「場」だと思います。学生同士が集まれるような場があるのかどうか。
勤務先では、「教職教育サポート室」と「模擬教室」があります。
お盆の間も使いたい!という嬉しい声をもらったので、職員の休暇中も警備室に依頼して開放しています。

(2)実践研究者との教師
 記録の書き方を習得すること。もちろん,それは単なる書き方ではなくて,観察力や問題発見力を養うものであり,将来の校内研修における探究的態度の基盤を準備することである。学校観察でも授業観察でもよいし,フィールドワークやプロジェクトについてえもよい。あるいは自分がこれまで受けてきた学校教育体験でもよいから,詳細な記録を書く経験を積み重ね,そうした記録を基にして,事実の分析や事実の背後に存在する諸意味に気づき,問題を発見するような洞察力を獲得することである。
 なかでも,教育実習の記録については,「日記」レベルに留まっている場合も多いので,これを「実践記録報告」に高めるように,レポート作成の機会を系統立てて提供していく必要がある。

これは私自身の役割ではありませんが、勤務先の教員は常に「書けることが大事」と学生に言っています。このため、かなりの頻度でレポート課題を出しています。
書く力がないとだめ、というのは私のように現職経験がないとよくわからないところもあるのですが、現場では書けないと通用しないのでしょうね。

変動社会の教師教育

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