専攻の同級生1名、研究科の同級生1名と3人で、日本の高等教育について、制度面、機能面、第三段階教育の3つについて分担して作成しました。自分のところだけ転載します。
なお、昨日は書き忘れましたが、この講義は6月6日(土)8:45~18:00に、5回分を一日集中で行いました。
日本における第三段階教育
「第三段階教育(tertiary education)」とは、近年「高等教育(higher education)」の代わりに国際機関で使われ始めた用語である*1。今回課題となっている喜多村(1998)*2*3は「第三段階教育(tertiary education)」とほぼ同様として「中等後教育(postsecondary )」を使用し、概念を説明している。
概念整理
「中等後教育(postsecondary education)」と「高等教育(higher education)」の制度的範囲は重複するため、共用ないし混用されていることも少なくない。しかしながら、今日では「中等後教育(postsecondary education)」は従来の「高等教育(higher education)」とその後のfurther educationの教育機会も含めた包括的概念として使用されることが一般的になりつつある。
定義
「中等後教育(postsecondary education)」の定義としては、エリート型からマス型に移行しつつあるヨーロッパ・モデルと、マス型からユニバーサル型に移行しはじめた段階にあるアメリカ・モデルのものが存在する*4。前者は、OECDによれば「中等学校レベル以上の一切の正規の学校教育(all formal education above the secondary school level)」とされている。この定義は17歳から19歳年齢の学生が入学する機関レベルを指し、さらにuniversity typeとnon-university typeにわけられる。これに対して後者はハイスクール段階以後の教育全てを指し、「中等学校(または中等教育レベル)以上の一切の教育」と定義される。これはアメリカの学校教育体系が単線型であり、かつ中等教育への就学が高度に普及していることに依拠している。
日本における「中等後教育(postsecondary education)の視点
日本において「中等後教育(postsecondary education)」の登場したのは昭和50(1975)年代であると考えられる。なぜなら、この時期日本の高等教育が大学(短大)を中核とする制度から、非大学型の教育機関をもふくめた多彩で広範囲な制度へと移行し始めたからである。また、現代の日本における「中等後教育(postsecondary education)」の内実はきわめて多彩であると言える。すなわち、学校教育的要素と社会教育的要素の絡み合いや、高等教育的性格の機関と継続教育的性格の機関の並存や混合、「学校教育」と「社会教育」、「高等教育」と「継続教育」、「学校教育」と「学校外教育」のボーダレス化によって、従来の「高等教育」の制度的概念だけでは中等教育以後の段階の教育機会の全体を説明することはできなくなったのである。その全体をあえて体系的に説明するならば、「高等教育」「継続教育」「生涯学習」の3つの種類の機会が相互に関連しあい、重なりあっていると形容することができよう。
- 作者: 喜多村和之
- 出版社/メーカー: 玉川大学出版部
- 発売日: 1999/03/01
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