松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

出張報告②定期総会・特別講演・シンポジウム(1日目)―全国私立大学教職課程研究連絡協議会 2015年度定期総会・第35回研究大会―

昨日の続きで、1日目の報告になります。
掲載にあたって、発表者から許可は得ておりません。もし内容の掲載そのものや、訂正必要等ございましたらご連絡ください。
当然のことですが、この記録には全て私個人のフィルターが通っているため、必ずしも発言がこのとおりであったとは限りませんし、記載内容の責任は全て私にあります。

※報告書としては詳細に過ぎますが、記録も兼ねているためご容赦ください。

1日目

①定期総会(10:30~12:00)

※他大学の先生と2名で議長を務めました。教員1名、職員1名の計2名で議事を進行する慣例になっていたようです。
※次年度の活動方針として、前述の専門委員会の発展的解消と、法人化に向けた検討体制の発足が可決されました。

②特別講演「教師養成改革の見通し」遠藤利明氏(衆議院議員・山形四区・教育再生実行本部長)(13:00~13:50)

※委員会後、途中から参加しました
・どれだけいい先生を養成し、採用し、研修するか、これが勝負になる。施設や制度よりも先生が8割だ。このため、学校インターンシップの充実やグローバル人材育成に取り組みたい
・英語についても、4技能を中学高校でしっかりやっていただきたい。せっかく6年間授業をするのであるから、せめて片言でも話をできるようにしたい
・「教員」とは何か?なぜ「教師」ではないのか。教え導く人というプライドをもった「教師」になってほしい。先生方が地域に尊敬され、子どもたちに頼られ、プライドをもって仕事にあたることが大事である
・学校には有為な人材が集まっていただくことが大事。教科に関する科目の教員には、もっと実務家教員を入れてはどうか。そんな形の改革もありうる
免許状の国家統制をする気は全くない。今のシステムを大きく変えようということでもない。学校の先生に自信をもって学校教育と地域の中心に取り組んでいただく、そのための体制を作りたい
・学校の役割分担を見直したい。先生がもっと教科指導に集中できる環境を整えたい

③シンポジウム 「これからの魅力ある教職課程をどう創るか~小中一貫・インターンシップ・地域連携を前に~」

●報告1「教育行政の立場から」茂里 毅先生(文部科学省

・キーワードは、大学と教育委員会、学校との連携強化である。これが教育行政の場で議論しているテーマである
教育再生実行会議の提言が5/14に第7次提言が出された、今日はその話をする
・養成、採用、研修の時間軸における育成指標がバラバラであることから、全体として共通された視座を検討することが効果的ではないか
・教育の仕組みの整備が必要である。教員研修・支援のハブ機能の整備、充実やインターンシップの検討を推進してはどうか
・教員としての生涯を考えると、大学は4年だけなので、ボリュームゾーンはやはり現職となる。個人的な意見だが、最も大事なのは先生方の身近にある校内研修ではないか。ここに主眼を置いた取組みが必要ではないかと感じている
・施策としてとりまとめ、来年の通常国会に提出することを目指している

●報告2「今求められる教員―採用側の立場から」大越裕光先生(仙台市教育長)

仙台市には192の市立学校がある。年齢構成は50代が4割を超しているので、急速な世代交代を予測している
・そうした中で課題になるのは、教員の質の維持である。平成23年度から、初任者研修を2年から4年に伸ばした。時間と手間をかけて養成していかなければならないと考えている
・大学には、養成段階として実践的な基礎内容をカリキュラムに積極的に取り入れていただきたい。目的意識をもって積極的に学ぶ方がほしい
・新規学卒者の特徴として、コミュニケーション不足であることが挙げられる。このことは、多くの人と直接のかかわりを持つ必要のない、社会全体の変化が背景にある
・大学時代には、多くの人との共同作業を経験して欲しい。1人では何もできないので、そういう体験を早くすることはよいのではと考えている

●報告3「インターンシップ研究の立場から」原 清治先生(佛教大学)

京都市教育委員会の志願書には、教師塾等の自己研鑽歴やボランティア活動に多くの欄を裂いている
・2014年度のデータでは2005年と比較してインターンシップをした学生は減っている。数値として減っているが、これは教師塾等の制度化されたインターンシップが増え、改めて制度外のインターンシップや学校ボランティアに参加する必要がなくなったことを示唆している
・もともとインターンシップは、教員採用試験の結果に直接的というよりも間接的な効果をもっていた。また、教育実習や短期のボランティアでは獲得できない要素(同僚とうまくやる等)を得ることができた。他方、教員採用試験の意気込み等はインターンシップを経由しても上がるとは限らない
インターンシップを経て学生に残った不安感は、決してネガティブなものではない。「自分は教師に向いているのか」と内省することは悪いことではない
・短期インターンシップよりは長期インターンシップの方が、合格率が高い
インターンシップにおける悩みについて、大学の教員と現場の教員に同様に相談すると、教員採用試験合格に向ける効果がもっとも高まる

●報告4「全学的な教員養成センターの立場から」森山賢一先生(玉川大学

・近年、平成24年8月答申を契機として、全学機関としてのセンター組織の設置が増えている
・センター組織にはいくつかのタイプがある。独立組織としての全学的な教員養成組織(岡山大学教師教育開発センター、玉川大学教師教育リサーチセンター)、教育学部を持つ大学での付属機関としての組織体制(島根大学教育学部附属教師教育研究センター、千葉大学附属教員養成開発センター)など。一方、全学委員会組織体制も比較的ポピュラーである
玉川大学教師教育リサーチセンターでは、教職課程支援室・教員研修室・教職サポートルームの運営等を機能としてもっている