松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

小林浩志著『パワハラ防止のためのアンガーマネジメント入門:怒り、イライラのコントロールで、職場は変わる! 成果が上がる! 』(東洋経済新報社)を読了

タイトルが長いですね。
最近職場でイライラすることも多いので買いました。心身の健康によくない気がしたので。
怒りことそのものは悪くない、どうマネジメントするかが大事だということが示され、具体的方策にまで言及された好著でした。

印象に残ったところをいくつか。

怒鳴る人がいると生産性が上がらない

 パワハラ上司のいる部署の生産性が上がらないのは、意味なく怒鳴られた部下が「本気を出さなく」なり、怒鳴られているところを見ていた別の部下が「萎縮する」からです。
 そして、イライラしている人がいる部署は、そのイライラが周囲にどんどん「伝染」し、部署全体が「殺伐とした雰囲気」になってしまいます。
 しかし、アンガーマネジメントを習得すれば、職場の雰囲気が変わります。「解決思考」が身につきますので、無闇にイライラすることが馬鹿馬鹿しくなるからです。

「怒る」と「叱る」の違い

 コミュニケーションの専門家の中に、「怒る」と「叱る」の違いを強調する人がいます。国語的な意味の違いではありません。
 違いのポイントは、「自分の損得のために」「怒る」であり、「相手の成長のために」「叱る」という行為です。
 怒るは、自分が困りたくないから、不利益を被りたくないからという理由の時運本位型のコミュニケーションであり、叱るは、改善提案や相手の成長を促すことが目的の相手本位型のコミュニケーションです。

働き方の良しあしは上司は決められない

今では「モーレツ社員」もいれば、「イクメン社員」もいるのです。法令にのっとって働いている以上、働き方の良しあしを上司が決めることはできません。

「ストレスとリラックスの黄金比

 「ストレスとリラックスの黄金比という言葉があります。
 人や組織が活性化し、パフォーマンスが最高潮に達する、緊張とリラックスのベストバランスは「6:4」ではないかという仮説です。

地位や立場を利用するだけなら誰でもできる

 強すぎるプレッシャーを感じた部下は、怒られることを恐れるあまりに、次のミス発生を注意するでしょうが、あわせて仕事へのモチベーションや創造性を発揮する感性も低下してしまいそうです。

 地位や立場を利用して人を恐怖に陥れるだけならば誰にでもできます。

怒りをマネジメントするとはどういうことか

 怒りの感情を「マネジメントする」とは、「怒らなくなること」ではなく、怒りの感情と「上手に付き合う」ことを意味しています。

部活で暴力はNG

学校教育は、部活動を含め、社会生活に出る前の訓練を施す場でもあります。
 社会生活において、暴力行為が許される場面は、危険な事件に巻き込まれ、正当防衛を行使するときしかありません。
 社会生活で通用しない行為を用いた指導法はNGと考えるのが是ではないでしょうか。

身近な人はコントロールしたい?

 NHKの『あさイチ』という番組で、「あなたのイライラの原因は?」というアンケートをとったところ、1位が「子ども」で、2位が「夫」という結果が出ました。
 これは、怒りの感情が「身近なところへ向かいやすい」という正確を表しています。(中略)
 怒りが身近なところへ向かいやすい理由は、「身近なところにいる人は、コントロールしやすい」という思い込みがあるからです。

「怒ればなんとかなる」は間違い

 人は、感情をより強く出すことで自分を表現しようとし、怒っていることが伝わらないと感じたら、余計に怒鳴ります。
 それは「怒ればなんとかなる」「怒鳴ったほうが相手に響く」と信じているからです。
 しかし、冷静に叱る(伝える)ほうが得策であることは、先の⑦でDJポリス氏の事例などを挙げながら説明したとおりです。

反射的に怒る人は、プロ失格

 反射的に怒ってしまう人は、自分をコントロールできない人に見えます。
 怒ると、言い方が冷静さを失い、伝えたい真意も違った意味に聞こえてしまいます。

 公の場でなく、一般のビジネスにおける交渉の場でも、怒りの表出によって取引ができなかったり、契約を打ち切られたりすることは日常茶飯事です。
 ローマ哲学者のセネカは、「自分で怒りを抑えるには、他人の怒る姿を静かに観察することだ」と述べています。
 仕事と信用を失わないためにも、他人の怒った姿を教訓にしましょう。

イライラする理由は、しょせん自分のコアビリーフ

 私たちがイライラする理由、怒る理由は、自分の信じている「べき」が目の前で裏切られたときです。
 誤解しないでいただきたいのは「○○であるべき」という「強いこだわり」を持ってはいけないといっているのではありません。
 「○○であるべき」という「強いこだわり=コアビリーフ」が影響されたならば、私たちはとても怒りやすくなるのですよ、ということです。
 コアビリーフは、自分だけに通用するルールであることが多いです。人をしばれるルールではありません。