松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

おときた都議主催「地方議員と訊ねる・触れる・感じる、モスク&ハラール体験ツアー」に参加

標記のツアーに参加しました。


東京ジャーミィでモスク見学→ハラールを食べられるお店で懇談、というツアーでした。
こういう時だからこそ知っておきたいと考えた参加した次第です。

大学も含めた日本の学校教育は、子どもたちが信仰する宗教を尊重できているのでしょうか。
例えば、イスラム教では1日に5回の礼拝が必要ですが、大学の仕組みの中で礼拝ができるような体制になっているでしょうか。
普通に考えたら、何人かはムスリムの学生がいるような気がするんですよね。ムスリムに限りませんが、これからも多様な背景を持つ学生は増えるでしょう。
彼らの多様な背景を十分大切にできる大学でありたい、そんなことを感じた1日でした。

それから、以前からTwitterやブログを拝見していたおときた駿東京都議が、私とまったく同じ腕時計をされていて親近感が湧きました。庶民派!
このたびは良い機会をありがとうございました。これからも応援してます。

以下に、東京ジャーミィの広報であり、ご自身もイスラム教徒でいらっしゃるシモヤマさんの解説を記録として記載します。許可は得ておりませんので、掲載そのものに関する問題や、内容の思い違いがありましたらご指摘ください。

自己紹介

・私はこのモスクで出版や広報をしている。今イスラム教が逆風にある。イスラム教に対する誤解や偏見が広がっている
・出版活動やメディア対応を普段はしている。今日のようにみなさんに来ていただくのは本当に嬉しいこと
・ここは、東京ジャーミイというトルコのイスラム教の礼拝堂であり、2000年にできたモスクである
・自分は日本人の数少ないイスラム教徒のシモヤマと言う。大学生のときにアフリカに行ったりして、実際にイスラム教徒の方と何百人も出会って、勉強していたら気づいたら実際にイスラム教徒になった
・偏見や誤解は次の不幸を生む。
・何より美しいこのトルコの礼拝堂を見て欲しい。写真は自由に撮ってもらってかまわない
・午後の礼拝には参加することもできる。流れがあったり形があったりするが、隣の人と同じようにやって参加してもよい

モスクの歴史

・代々木上原になぜモスクがあるのか。1917年モスクワで起こったロシア革命。そのときに革命軍は外に出てきて、トルコ系の民族タタールを迫害した。彼らは祖国を捨て、シベリア経由で中国に入り、そのまま日本にきた。昭和の初めにかけてのこと。いくつかのグループに別れて逃げてきた
・アメリカに逃げてハリウッドで俳優になった人もいる。チャールズ・ブロンソンという
・日本には二世のタタールもいる。ここの古いモスクを作った人たちの二世である。その人の名前は若い人は知らないだろう。ロイ・ジェームスという
・逃げてきた人は神戸や名古屋に住み着く。東京には渋谷区富ヶ谷という一角があり、そのあたりに住み着く。最初は小さい礼拝堂を作っていたが、ここに現在のモスクの前進の古いモスクを作った。昭和13年のことだ。真珠湾攻撃まであと3年。戦争前夜である
・日本で一番古いモスクは名古屋にできるが、戦争で焼ける。二番目に古いのは神戸モスク。これは残っている。神戸は貿易港だ。インド人が自分たちでお金を作ってモスクを作った
・こちらのモスクは日本の政界や大企業がお金を出す。その当時、コミンテルン日本共産党、戦前は非合法だった。日本は共産が日本にくるのを恐れ、「望郷の砦」をつくった。その役目を担ったのがイスラム教徒である
・中国には今でも二千万のイスラム教徒がいる。中国は多い、ウイグル族とカイ族である
・代々木上原にできた礼拝堂は、ある意味政治的な意図もあって作られた。戦争中も焼けないで残った。戦後も1986年までは残った。雨漏りがするようになったので取り壊され、現在のものができた
・現在のモスクはさまざまな寄付金から成り立っているが、一番集まったのはトルコである。東京にモスクを作るとなると、自分たちもお金を出すが、海外からお金が集まってくる
パキスタンとかバングラディッシュとか、国によって色分けがある。ここはトルコの礼拝堂だ。小さいけど、トルコのモスクに装飾も含めてそっくりである。作ったのは有名なトルコの建築家だ。オスマン帝国のピークに作られたモスクを21世紀の東京に再現した。水と鉄とセメントをのぞけば、材料は全てトルコから持ってきた

イスラム教に関する解説

イスラム教徒は聖地メッカの方向を向いて礼拝をしなければならない。それをしない礼拝は無効である。したがってこの建物もメッカの方角を全体が向いていて、少し斜めに立っている
アラビア文字には親しみがないと思う。キリスト教には親しみがあり、イスラム教にやや遠い宗教に似ているということに似ている。日本は、明治維新から近代化の道を歩んだ。そのときにモデルにしたのはヨーロッパだ。学校も法律も真似をした。世界宗教という言い方をすると、キリスト教イスラム教は紛れもなく世界宗教である。前者は20億、後者は16億。4人に1人がイスラム教徒だ。しかし、日本では距離感が遠い。砂漠の果てのアラブの宗教というイメージ。それはアラビア語も同じ。でも、アラビア語から英語に入っていった言葉は結構ある。逆はゼロだ。イスラム文明の下にはインドやギリシャの文明がある。コーランアラビア語を元にしたイスラム文明で、それはヨーロッパ文明のベースになる。言葉を見ればわかる
・コーヒーと砂糖はイスラム文明からヨーロッパに入っていく。みんなラテン語に翻訳され、ラテン語から英語になっていく
・スレイマン1世がハプスブルク家を攻めたときに、コーヒー豆をもっていった。コーヒー豆を最初に優先的に飲んだのは軍人である。10万人のオスマンの軍隊は膨大なコーヒー豆を持っていく。しかし、ウィーンのハプスブルク家を包囲しているとき、向こうも強いから簡単に落ちない。雪が降り出して引き返すことになるが、帰り路に持ち歩くには重いから、ウィーンに置いていった
・カメラはイスラム文明が生んだ道具だ。カメラの語源のアラビア語は「カマラ」。カマラは、暗い部屋のことを指す。暗い部屋の一部にピンホールで穴をあけると、向こう側に被写体を結ぶという原理を発見した。暗いスペースがないと、カメラはカメラではない。カメラは四角いボディーのことを言っている
イスラム教を知る一番いい方法は、人を知ってもらうこと

礼拝堂にて

イスラム教徒は一日5回礼拝をする。5回は大変だと思うか?でも、食事は一日3回しているはずだ。間食を入れれば5回くらいにはなる。イスラム教徒にとって礼拝は精神の食事である
・礼拝をする前と後は顔が違う。精神に対する糧を礼拝で得ている
・モスクの中に具体的な姿はしていない。目に見えないものが大切。キリスト教の場合は教会にキリスト像がある。これが一番大きな違い
イスラム教の礼拝堂には像や絵を作ってはいけないことになっている。イスラム教の予言者には具体的な姿がない。唯一神と間違えてはいけない
・預言者というのは、人間の中から選ばれた人。でも、どこまでいっても人間である。本来イエス・キリストもそうだが、三位一体という考え方の中で崇拝の対象となっていった
キリスト教のステンドグラスには聖母マリアが描いてある。イスラム教にはそれがない。全てデザイン。外の光で幾何学模様を描いている
・礼拝堂は外から見れば丸いドームである。しかし、基本的な形は6角形だ。真ん中のスペースを大きくするために、中に柱はない。6つの半ドームが大きい1つのドームをささえている。この1つのドームが唯一神を示し、神が作った空間を示している
・自然界に見事な6角形を作るものがいる。蜂だ。蜂は、少しも間違うことなく正6角形をつくる。6角形を指で両側から力を加えてもつぶれない
・トルコは日本と同じくらい大きな地震がよくくる。力が加わってもつぶれないように6角形で強く作ってある
・クモを撃退するためにダチョウのタマゴを置いてある。クモはダチョウのタマゴの匂いが嫌いだから

キリスト教との違い

イスラム教にはお坊さんや牧師さん、神父さんはいない。1人ひとりが神を向き合う、そのときに間に何かを介在してはいけないということになっている。あくまでも先導者がいるだけ。3人でやる場合は、3人のうちの誰かが前に出る
カトリックは組織のトップにバチカンローマ法王がいる。イスラム教は宗教自体にピラミッドがない。みんな水平であり、同等の関係だ。これにはいい面と悪い面があるが、、
・モスクは人々の人間の生活の真ん中にある。仏教のお寺は山の上に古くからある。病院や学校、市場はモスクと一緒にできる。モスクは昔シェルターだった。生きられなくなったらモスクに行った
イスラムが説いているのは、人間が幸せになる道と、社会が安定する道
イスラム教は人間が罪を犯さないとは言っていない。1人の人間を殺すことは、全部の人間を殺すことに等しい。あの人たちは大きな罪を犯した。100%地獄に落ちる。人間は、イスラム教徒にも色々いる
イスラム教徒にとって、現世の死はジ・エンドではない。次の人生のはじまりであり、来世には終わりがない。死ぬことがない。現世で悪いことをしたとしても、たくさんいいことをすれば、量りにかけられる。悪いことの方が多かった人は地獄に落ちる。もっと簡単に言うと、ポイント制になっている。5回礼拝に立つことや、みんな礼拝に立つこと、こういうことはポイントが高い
・なぜ豚肉を食べてはいけないのか?日本人も元々は豚肉を食べていなかった。豚肉どころか牛肉も食べていなかった。殺菌が難しく、哺乳類の病気は人間に移りやすかったからだ。ではなぜ現代になっても食べないのか?それはコーランに明記されているから。コーランは神の言葉だ。神の啓示は絶対だ

ISILに関するコメント

・ISILのやったことは、イスラムの教えには完全に反している
・生まれつきのテロリストはいない
・でも、アフガニスタンイラク、パラスチナ、このあたりは今もなお問題が多い。ソ連アフガニスタンに侵攻し、10年いた。アフガニスタンの人たちが始めた戦争ではない。彼らは被害者だ
・当事者じゃないからわからないが、当事者だったらどんな行動をとっていただろうと思うことがある。何かが自分の身に降りかかった時にどうしますかということ。非暴力と言うのは簡単
パレスチナはイギリスの二枚舌から、イスラエルの建国を認めた。アラブの人たちは何も知らされておらず、祖国を失った。そこから回復していない。ガザ地区に閉じ込められ、ミサイルが撃ち込まれている。非戦闘員が千人以上死んでいる
パレスチナの人がイスラエル兵に石を投げることがある。あれは生きる権利を奪われた人の抵抗だと思う。イスラム国の状況にまでなるとテロになる。でも、テロという言葉は気をつけて使わねばならない
・テロとかそういうものを見るときに単一的に見るのはやめてもらいたい。イスラム国も完全に殲滅されるだろう。アメリカがアフガンで10年かけて無人爆撃機を使ったが、現在引き上げようとしている。あとに残るのは混乱や憎しみだけ
・私たちが起きていることとその背景にあるものをよく考えないと解決にはならない