松宮慎治の憂鬱

タイトルは友人が考えたもので,某アニメのことはわかりません。

読書(評論)

フレデリック・ラルー(嘉村賢州、鈴木立哉訳)(2018)『ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)を読了

標記の本を読了した。 本稿の要諦は,組織モデルの発達段階として,①衝動型(レッド):恐怖による支配 ②順応型(アンバー):官僚制 ③達成型(オレンジ):実力主義 ④多元型(グリーン):ミュニティ ⑤進化型(ティール):生命体型組織の5つを示し,最後の⑤がどのよ…

アルン・スンドララジャン(門脇弘典訳)(2016)『シェアリング・エコノミー』(日経BP社)を読了

標記の本を読了した。 本書が描く「シェアリング・エコノミー」的未来は,次のような状態を指す。 1 おおむね市場に基づく──財の交換が行なわれ新しいサービスが生まれる市場が形成され、より潜在力の高い経済活動が実現する。 2 資本の影響力が大きい──資…

田中明彦(2017)『新しい中世:相互依存の世界システム』(講談社学術文庫)を読了

標記の本を読了した。 本書のキーワードである「新しい中世」は,冷戦終結や欧米の覇権の後退後であるポスト近代を示すものである。 ここでいう「新しい中世」は,ヨーロッパの中世とポスト近代が「似ている」と考えられるところからきている。 どこが似てい…

大村大次郎(2012)『税務署員だけのヒミツの節税術:あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】』(中公新書ラクレ)を読了

標記の本を読了した。 読み始めてすぐに,「これはフリーランス向けだったか,失敗かも」と思ったが,第1章にサラリーマン向けの記述があった。 筆者自身が言うように,この部分だけでも買う価値があると思う。税務署員だけのヒミツの節税術 あらゆる領収書…

河合雅司(2017)『未来の年表:人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)を読了

標記の本を読了した。 本書は産経新聞社の論説委員が産経新聞紙上で展開した連載「少子高齢時代」にもとづき執筆されたものである。 第1部では,「人口減少カレンダー」として,人口減少に伴って生じる20の問題を時系列に示す。 第2部では,第1部を踏まえた…

河野勝(2002)『制度』(東京大学出版会)を読了

「社会科学の理論とモデル」シリーズの12巻目である。 政治学の立場から,制度とは何か,制度学派の諸潮流,現代の政治制度,近代的統治構造,民主主義の制度について解説されている。 自身の問題関心は前半にあったが,わかりやすかった。制度 (社会科学の…

太田肇(2010)『日本人ビジネスマン「見せかけの勤勉」の正体:なぜ成果主義は失敗したか』(PHP研究所)を読了

標記の本を読了した。 本書で特に印象に残ったのは,第2章における意欲を失わせる要因の分析である。 そして,管理監督者はこの意欲を失わせる要因をできるだけ取り除けばいい,とある。 要因は「足かせ」として,5つ示されている。 足かせ1 〈くすぶる、残…

佐藤航陽(2017)『お金2.0:新しい経済のルールと生き方 』(幻冬舎)を読了

話題作を読了した。 本書で述べられていることは,ぼくなりに解釈すると, (1)既存の経済システムに新しいサブシステムが登場しつつある (2)新旧の経済システムには,共通点がある (3)新しいサブシステムは,既存の経済システムと併存可能である の3点…

野崎昭弘(2017)『詭弁論理学(改版)』(中公新書)を読了

標記の本を読了した。かなりの名作である。本書では,代表的な詭弁と,その対象法が書かれている。 たとえば,大学においてよく聞く詭弁が,「aを認めてしまったら,Aも認めらなければならなくなる。だからaも認められない」というものである。 しかしながら…

佐藤文彦(2017)『プロ野球でわかる!はじめての統計学』(技術評論社)を読了

標記の本を読了した。 本書で取り扱っているのは野球のデータであり,分析手法としては,相関分析,統計的仮説検定,分散分析,回帰分析をカバーしている。 中学生の頃,高校野球の防御率の計算等をしていた身としてはなじみやすい。 前半部分に,データ分析…

八代尚宏(2017)『働き方改革の経済学―少子高齢化社会の人事管理』(日本評論社)を読了

標記の本を読了した。 本書の要諦は,「はじめに」で全て語られていると言っていい。 アベノミクスの第三の矢である労働市場改革について,現状の整理,近年の政策の問題点,企業内人事への新たな提案がポイントとなっている。 中でも第3章では,非正規をな…

金成隆一(2017)『ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く』(岩波新書)を読了

標記の本を読了した。 「トランプ王国」というのは,共和党の予備選でトランプが圧倒的勝利を収めた地域のことであり,基本的には地方であるという。 本書ではいくつもの論点が取り上げられているが,最大のものはトランプが支持された理由である。 トランプ…

フィリップ・アリエス(杉山光信,杉山恵美子訳)(1980)『〈子供〉の誕生:アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』(みすず書房)を読了

標記の本を読了した。 本書では,〈子供〉という概念はそもそも自明ではなく,中世以降に社会的・制度的・文化的に縁どられてきたものにすぎないことが述べられている。 筆者によれば,17世紀までの中世芸術を紐解くと,〈子供〉の存在は描かれていなかった…

トッド・ローズ著・小坂恵理訳『平均思考は捨てなさい―出る杭を伸ばす個の科学』(早川書房)を読了

標記の本を読了した。 読み終わって思うことは,タイトルの「思考」は「志向」と読み替えることもできるなあ・・ということである。 つまり,本書で取り上げられているのは,平均「思考」への批判であると同時に,「志向」への疑義でもあると思うのである。 …

佐藤綾子著『小泉進次郎の話す力」(幻冬舎)を読了

最近,自分がプレゼンを舐めすぎているなと感じていた。 つまり,ほとんど直前まで準備せず,出番の30分前くらいからどう話すか考え始めるようなことを最近はしていたからだ。 これには理由があって,学術の場だと結構,スキルに関係なく中身を評価してもら…

今井むつみ著『学びとは何かーー〈探究人〉になるために』(岩波新書)を読了

標記の本を読了した。この本はすごい。 筆者は認知科学や言語心理学の研究者で,「学ぶとはどういうことか」ということを,きわめてわかりやすく解説している。 前段では,「そもそも知識とは何か」という問いから始まり,記憶とはどう違うのか,知識の体系…

元永知宏著『期待はずれのドラフト1位――逆境からのそれぞれのリベンジ』(岩波ジュニア新書)を読了

標記の本を読了した。 ジュニア新書なので,漢字にルビが振ってある。 期待はずれのドラフト1位がそこからどう人生を歩んだか,がドキュメンタリーとして追われている。 最も印象に残ったのは,自身の記憶にも残っている的場寛壱選手(1999年阪神タイガース…

谷崎光著『日本人の値段ー中国に買われたエリート技術者たち』(小学館)を読了

随分前に購入した標記の本を読了した。 端的にいえば、日本メーカーの技術者が中国に高額年俸で引き抜かれ、技術が流出する実態を追ったドキュメンタリーである。 自分にも技術者の友人がいるので、身につまされた。 機会があれば意見を聞いてみたい。日本人…

桐谷ヨウ著『仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵にすら上がれていないんだ、私は』(ワニブックス)を読了

標記の本を読了した。 「天才恋愛コラムニスト」の桐谷ヨウ氏の著作であるが,彼はネット上では「ハーレンファイト」の名前で活動している。 ところで,ぼくはなぜこの本を買ったのだろうか? 全く覚えていない。病んでいるのかもしれない。仕事ができて、小…

井上理津子著『さいごの色街 飛田』(新潮文庫)を読了

とんでもない作品を読んでしまった。 まさしく渾身のルポルタージュである。さいごの色街 飛田 (新潮文庫)作者: 井上理津子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/01/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る

ポール・ウィリス著,熊沢誠・山田潤著『ハマータウンの野郎ども』(ちくま学芸文庫)を読了

実際に購入したのは随分と前なのだが,積読になっていた標記の本をようやく読了した。 本書は,イギリスの学校教育制度において,労働者階級の子どもたち(「野郎ども」)がいかなる理由で学校文化へ反抗し,肉体労働へ順応していくかを描く。 ぼくもこのブ…

佐藤敏郎監修,雁部那由多・津田穂乃果・相澤朱音著『16歳の語り部』(ポプラ社)を読了

本書は,東日本大震災に小学校5年生で被災した3人の子どもたちが,16歳になった今,それぞれの「語り」によって当時を思い返すという趣旨である。 鬼気迫るというよりは,どちらかといえば描写は淡々としているのに,それがまた深刻さを増すことになる。私が…

堀江貴文著『99%の会社はいらない』(ベスト新書)を読了

標記の本を読了した。 思ったのは,「そんなにホンマのことばっか言うてたら,刺されてしまうで…」ということである。 しかし,内容より驚いたのは,小池百合子氏を一部で取り上げていることだ。 言うまでもなく,この本は小池百合子の出馬のシュの字もない…

三宅洋平・岡本俊浩著『「選挙フェス」17万人を動かした新しい選挙のかたち』(講談社新書)を読了

先日の参院選,三宅洋平という候補がかなり話題になっていました。 otokitashun.com しかしながら,ぼくはこの三宅洋平氏を全く知らないので,「知らないのはマズいな」と思っていました。 そうしたところ,むーにょん先生こと京都外大の村上先生にこちらの…

MB著『最速でおしゃれに見せる方法』(扶桑社)

社会人になり,忙しくなると,なかなかゆっくり服を見るヒマもなくなる。 そうしたときの強い味方がこちら。 値段に関係なく,本当にいいものとは何か(すなわち,高くてもダメなものはダメ)という,「本当のこと」をかなりあけすけに書いている傑作。 ファ…

デイル・ドーテン著,野津智子訳『仕事は楽しいかね?』(きこ書房)を読了

年末に標記の本を読了しました。 たしか,IPS細胞の山中先生の愛読書だとかで有名な本だったと思いますが,おすすめです。 飛行機が止まってしまった空港で,マックス・エルモアというおじさんに話しかけられる中で,さまざまな教訓のようなものをもらうとい…

宇野維正著『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)を読了ーーアラサー必見の書ーー

標記の本を読了した。 端的にいえばこの本は、宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみという日本を代表する女性「アーティスト」を巡って、CD売り上げが音楽史上最高の売り上げとなった(そしてそれは、これからずっと塗り替えられないことを指す)1998年…

今津孝次郎著『教師が育つ条件』(岩波新書)を読了

標記の本を読了しました。 以前読了した書籍化された博士論文について、実際に働いている先生方の声を取り入れ、かつやや一般向けに出版したもの、と理解しました。 教師の質(もしくは資質、資質能力)等の向上といったときに、多くの場合その質とはなんな…

今津孝次郎著『変動社会の教師教育』(名古屋大学出版会)を読了(5)教員養成の課題

続きですが、このくらいで最後にしたいと思います。 自分の仕事に最も関係のある「教員養成の課題」についてです。 今津先生は、この問題について4つの観点を提示されました。 すなわち、 (1)同僚教員間連携 (2)実践研究者としての教師 (3)やわらかい…

今津孝次郎著『変動社会の教師教育』(名古屋大学出版会)を読了(4)なぜ個々の学校に議論が焦点化されないのか?

続きです。 全く興味のない方にとっては全然面白くないかもしれません。すみません。 でもこのブログ、自分のためにやってるんです。だからご容赦ください。日本の学校研究でなぜ個々の学校というよりもむしろ全体にかかわる議論ばかり進むのか、という重要…