松宮慎治の憂鬱

'04京都橘高校卒→'08大阪教育大学卒、私立大学に職員として奉職→'17広島大学大学院教育学研究科博士課程前期高等教育開発専攻修了,そのまま後期課程在学中。とあるきっかけ(http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2015/01/10/050000)があって、実名でブログを始めることにしました。特に憂鬱なことはないのですが、大学職員仲間がタイトルを考えてくれたので、そのまま使います。

読書(大学)

笠京子(2017)『官僚制改革の条件:新制度論による日英比較』(勁草書房)を読了

新制度論の理解を深めるために,標記の本を読了した。 日英の官僚制改革の比較分析を行っており,方法論として新制度論を援用している。 本書の冒頭で提示されている新制度論の分析枠組みは,Schmidt(2010)による合理的選択制度論,歴史的制度論,社会学的…

久米郁男(2013)『原因を推論する:政治分析方法論のすゝめ』(有斐閣)を読了

標記の本を読了した。 本書では政治学を素材に因果推論の基礎基本が解説されているが,政治学に全く関係のない分野の人が読んでも勉強になるよう設計されている。 とりわけ, 第4章 推論としての記述 第5章 共変関係を探る:違いを知るとはどういうことか 第…

鈴木大裕(2016)『崩壊するアメリカの公教育:日本への警告』(岩波書店)を読了

標記の本を読了した。 本書はアメリカに留学し,アメリカで研究を行っている筆者が,新自由主義的な公教育を批判し,日本への警鐘を鳴らすものである。 取り上げられているのは,1980年代,『危機に立つ国家』以来のアメリカにおける新自由主義的教育改革が…

ミーケ・ルーネンベルク他(武田信子・山辺恵理子監訳)(2017)『専門職としての教師教育者:教師を育てる人の役割、行動と成長』(玉川大学出版部)を読了

標記の本を読了した。 本書は,「専門性開発を支援する目的で、教師(を目指す者)を教えたりコーチングしたりするすべての者」(p.20),すなわち教師教育者をめぐる先行研究レビューであり,国際比較研究である。 レビューは,教師教育者の(1)専門職とし…

クリストファー・ラッシュ(森下伸也訳)(1997)『エリートの反逆ー現代民主主義の病い』(新曜社)を読了

標記の本を読了した。 本書は,歴史学者であるクリストファー・ラッシュが『大衆の反逆』になぞらえて,民主主義を脅かしているのは大衆ではなくエリートであることを喝破したものである。 その分析視角として,社会移動と能力主義,コミュニタリアリズムと…

寺田篤弘(2010)『壊れる大学:ドキュメント 日本大学国際関係学部』(人間の科学社)を読了

標記の本を読了した。 本書は,日本大学国際関係学部の学部長が学部を私物化し,専横的な運営を行ったことの告発本である。 もちろん,一方だけの主張を聞いて頭から鵜呑みにすることはできない。 しかし,大学組織では本書で書かれているようなことは十分起…

乾彰夫・本田由紀・中村高康編(2017)『危機のなかの若者たち―教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』(東京大学出版会)を読了

本書は,「若者の教育とキャリア形成に関する調査」( Youth Cohort Study of Japan 2007-2010, YCSJ)による,2007年4月1日現在で20歳の若者の5年間について量的・質的調査にもとづき,教育ないしキャリアの中での若者の移行と危機を描いたものである。 最…

川原淳次(2004)『大学経営戦略:財務会計・格付け・資産管理の基礎知識』(東洋経済新報社)を読了

こちらも昨日に類似して,野村證券のアナリストの執筆である。 第2章では大学単体ではなく,学校法人をグループとして考えた財務戦略が述べられており,興味深い。 自分は大学単位で分析することが多いが,経営視点では法人単位の分析が重要である。本当は。…

ウィリアム・リード(福原賢一監訳)(2003)『財務からみた大学経営入門』(東洋経済新報社)を読了

標記の本を読了した。野村證券のアナリストが経営の観点からアメリカの財務を捉え,日本に紹介する翻訳書である。 基本的にはアメリカの理事会が経営判断をどう行うかについて,財務面から検討を重ねている。なので,投資に寄ったことも書いてある。 個人的…

マーチン・トロウ(喜多村和之監訳)(2000)『高度情報社会の大学』(玉川大学出版部)を読了

標記の本を読了した。以下の本の後継書である。 shinnji28.hatenablog.com第1章ではまず,高等教育システムの多様性と低学力学生への対応について概説する。 前者については,マス型高等教育の成熟プロセスと多様性の国際比較を行っている。 具体的には,多…

カール・ノイマン(小笠原道雄・坂越正樹監訳)(2005)『大学教育の改革と教育学』(東信堂)を読了。

標記の本を読了した。 第1章では,フンボルト理念とイノベーション圧力の葛藤が描かれており,これを克服しうるものとしての生涯教育や継続教育が提示されている。 具体例と示されているのは,ルーティーン組織から切り離されたプロジェクトグループである。…

大学行政管理学会財務研究グループ編著(2014)『これならわかる!学校会計~いまさら聞けない・これから知りたい~』(学校経理研究会)を読了

標記の本を読了した。平成25年改正法対応版である。 この前のバージョンが出版されたときに買ったのだが,その時は全く歯が立たなかった。 しかしながら,今回はスラスラ読めた。 学校法人会計の勉強など全くしていないのに,何が違うのか……。 企業会計との…

マイケル・ギボンズ編著,小林信一監訳(1997)『現代社会と知の創造―モード論とは何か』(丸善ライブラリー)を読了

かなり今さらなのだが,標記の本を読了した。 2年くらい,読まねば読まねばと思ってようやく読めた。 しかし,内容的には結構読むのがつらい。 冒頭の小林先生による解説がもっともわかりやすい。 ディシプリンの内的論理で研究の方向や進め方が決まるのがモ…

デレック・ボック(宮田由紀夫訳)(2004)『商業化する大学』(玉川大学出版部)を読了

本書は,教育,研究,スポーツの3つを中心に,大学におけるそれらの取組みが商品として売り出されることに警鐘を鳴らすものである。 大学の取組みが商業化することによって失われるものがあり,さりとて商業化から常に距離を置けるわけでもない,という難し…

日本教育社会学会編『教育社会学のフロンティア1――学問としての展開と課題』(岩波書店)を読了

標記の本を読了した。 教育社会学会を中心とした教育社会学の戦後の歩みと主要論点が整理されている。 教育社会学の定義(第1章),理論と方法(第2章),近年の課題(第3章)というまとまりで枠づけされており,わかりやすかった。 高等教育研究は教育社会…

飯尾潤(2007)『日本の統治構造―官僚内閣制から議員内閣制へ』(中公新書)を読了

標記の本を読了した。 筆者の問題意識は,議院内閣制が分権性(≒三権分立)と結び付けられるていることの,国際通用性のなさ,そこからくる独自性への批判(≒どっちつかずの議院内閣制)に帰結している気がした。 ただ,初版が政権交代前であったがゆえに,…

山谷清志(2012)『政策評価』(ミネルヴァ書房)を読了

政策評価の基本的なことを知りたくて,標記の本を読了した。 BASIC公共政策学の第9巻とあって,門外漢にやさしい構成となっていた。 「政策」とは,「評価」とは何かといった基本的なことから,日本における政策評価制度の展開まで, 基礎→応用と勉強になっ…

ブルーノ・アマーブル著,山田鋭夫他訳(2005)『五つの資本主義――グローバル時代における社会経済システムの多様性――』(藤原書店)を読了

標記の本を読了した。 自分にはまだ難しすぎたが,統計分析を用いて社会経済システム(制度)を分類していることは理解できた。 本書で示されているシステム(資本主義モデル)は,次の5つである。 ・市場ベース型経済 ・社会民主主義型経済 ・アジア型資本…

野村康(2017)『社会科学の考え方―認識論、リサーチ・デザイン、手法』(名古屋大学出版会)を読了

標記の本を読了した。 本書で最も勉強になったのは,第Ⅰ部の「認識論」である。 特に,存在論の2つの立場(基礎づけ主義と反基礎づけ主義)と認識論の3つの立場――実証主義(positivism),解釈主義(interpretivism),批判的実在論(critical realism)――の…

藤原康弘・仲潔・寺沢拓敬(2017)『これからの英語教育の話をしよう』(ひつじ書房)を読了

標記の本を読了した。 本書では,新学習指導要領とコア・カリキュラムという直近の英語教育政策を批判的に検証し,対案を示す試みがなされている。 第1章では,小学校への英語の「教科化」(「外国語活動」からの転換)にはエビデンスも一貫性もないことが批…

藤本夕衣・古川雄嗣・渡邉浩一編『反「大学改革」論―若手からの問題提起』(ナカニシヤ出版)を読了

結構前のことにはなるが,標記の本を読了した。 本書は,専門を高等教育論に限らない論客が集合し,90年代以降のさまざまな「大学改革」を批判的に検討するものである。 テーマとしては,PDCAサイクル,産学連携,補助金,社会との接続,大学の大衆化,大学…

佐藤郁哉・山田真茂留著『制度と文化―組織を動かす見えない力』(日本経済新聞出版社)

標記の本を読了した。 結論からいえば,新制度論のことを勉強するとき,ディマジオとパウエルやマイヤーとロワンを読む前に,こちらの書籍を読むべきであった(笑) というくらいわかりやすく,新制度論のエッセンスが詰まっている。 特に理論をイメージした…

呂煒編著(成瀬龍夫監訳)『大学財政――世界の経験と中国の選択』(東信堂)を読了

標記の本を読了した。 本書は中国の高等教育財政が中心なのかなと思って拝読したが、良い意味でそうではなかった。 中国の話題は2割くらいで、残りは財政支出と調達の国際比較であり、さらにあまり取り上げられることのないインドとブラジルの事例も収録され…

宮本常一・安渓遊地著『調査されるという迷惑―フィールドに出る前に読んでおく本』(みずのわ出版)を読了

標記の本を読了した。 この本は,フィールドワークを行うにあたり,現地の方にいかに迷惑をかけてきたか,また迷惑をかけるとしたときにどのような迷惑のかけかたがありうるのか,といったことについて述べられている。 具体的には,「「調査をしてやる」と…

小川正人著『教育改革のゆくえー国から地方へ』(ちくま新書)を読了

他大学の先生にツイッターでおすすめされて読了した。 帯には,センセーショナルに,「2000年以降、激動の理由 食いモノにされる教育行政」という言葉が踊っている。 本書では,55年体制にあって政府自民党が教育政策をどのように決定してきたのか,文部科学…

チャールズ・E・リンドブロム/エドワード・J・ウッドハウス著,藪野祐三/案浦明子訳『政策形成の過程ー民主主義と公共性』(東京大学出版会)を読了

標記の本を読了した。 本書を読んだ理由は,リンドブロムの提唱した「漸増主義(インクリメンタリズム)」について,基本的な確認をしておきたかったからである。 インクリメンタリズムというのは,端的にいえば政策形成過程において,すべての利害関係者の…

グレアム・T・アリソン著,宮里政玄訳『決定の本質ーキューバ・ミサイル危機の分析』(中央公論社)を読了

標記の本を読了した。 第2版があるようだったが,ひとまず第1版を読んだ。 結論からいえば,読んだ感想は,難しい!というもの。 主に自分の勉強不足のせいで。世界史の勉強を真面目にしていなかったことが悔やまれる。 キューバ危機の文脈がわからないと…

寺沢拓敬著『「日本人と英語」の社会学―な​ぜ英語教育論は誤解だらけなのか」(研究社​)を読了

標記の本を読了した。つらつらと感想をば。本書では,世の中でまことしやかに信じられている言説,たとえば「日本人は英語下手」とか,「女性は英語好き」であるといったものに対して,データ分析にもとづいて批判的考察を加えている。 「日本人は英語下手」…

土井進著『テキスト 中等教育実習「事前・事後指導」―教育実習​で成長するために―』(ジダイ社)を読了

標記の本を読了した。 事前・事後指導をどのように充実させるかについて悩んでいた自分にとっては,参考になった。 勤務先では,事前指導は3日間の集中講義を行い,徹底的に行っていると言っていいと思う。 しかし,事後指導については実践演習も始まったこ…

読了した文献(48)

◇小室直樹(1974)「社会学における統計的モデルをめぐる諸問題」『現代社会学』第1巻第2号,pp. 24-55. ◇篠田雅人・日下田岳史(2014)「人文科学系学科における卒業論文の意味するもの―学科における現状認識と、操作変数法による執筆効果の推定から―」『大…