松宮慎治の憂鬱

タイトルは友人が考えたもので,某アニメのことはわかりません。

読書(大学)

伊藤公一朗(2017)『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(光文社新書)を読了

標記の本を読了した。 本書では,因果関係の導出がそもそも難しいこと,そしてなぜ難しいかという話題を皮切りに,RCT,RDデザイン,集積分析,パネルデータを扱い,最後に上級編への階段を示す「初級編」である。 階段状のデータから因果を描く集積分析って…

中村高康(2018)『暴走する能力主義:教育と現代社会の病理』(ちくま新書)を読了

少し前のことになるが,標記の本を読了した。 本書を貫くテーマは,常に反省的に問い直されるという性質を初めから内包しているという,「メリトクラシーの再帰性」であり,与えられる命題は次の5点である(pp.47-48.)。 命題1 いかなる抽象的能力も、厳密に…

南風原朝和編(2018)『検証 迷走する英語入試――スピーキング導入と民間委託』(岩波ブックレット)を読了

今さらながら標記の本を読了した。章立ては次のとおりである。 第1章 英語入試改革の現状と共通テストのゆくえ(南風原朝和) 第2章 高校から見た英語入試改革の問題点(宮本久也) 第3章 民間試験の何が問題なのか――CEFR対照表と試験選定の検証より(羽藤由…

S.スローター,G.ローズ(成定薫監訳)(2012)『アカデミック・キャピタリズムとニュー・エコノミー:市場,国家,高等教育』(法政大学出版局)を読了

本書では,前書『アカデミック・キャピタリズム』をひいて,今回示すアカデミック・キャピタリズムを次のように定義している。 アカデミック•キャピタリズムとは、外部からの収入を獲得するための市場行動あるいは擬似市場行動の追求と定義することに変わり…

本田由紀編(2018)『文系大学教育は仕事の役に立つのか:職業的レリバンスの検討』(ナカニシヤ出版)

本書は,文系大学教育は仕事の役に立ちうるのであるという,ある面では常識的な仮説を,いくつかのテーマに沿って検討したものである。 本書の重要なところは,単に「役立ちうるのだ」「だから文系不要論はアホなのだ」という単純な因果を描いているわけでは…

早川純貴・内海麻利・田丸大・大山礼子(2004)『政策過程論:「政策科学」への招待」(学陽書房)を読了

本書は,政治学の視点から政策過程分析を論じたものである。 特徴は,実際に政策形成に携わった論者が執筆されていることと,官僚機構における予算編成過程等の分析方法(第4章)と,政策評価やフィードバック(第6章)に関することへの論及があることのよう…

朴澤泰男(2016)『高等教育機会の地域格差:地方における高校生の大学進学行動』(東信堂)を読了

本書は,大学進学率の地域格差が生じるメカニズムを,進学の費用便益分析から描いた。 博士論文が刊行されたものであるので,博論の書き方という視点からも勉強になった。 また細かいところではあるが,新たに知った重要なこととして,進学率を県外進学率と…

渡辺孝(2017)『私立大学はなぜ危ういのか』(青土社)を読了

筆者は金融論が専門であるが,文教大学学園の理事経験があり,その仕事からきた問題意識にもとづき本書を執筆されたようである。 第1部では,戦後の高等教育政策の変遷とその中での位置づけを,第2部では,私立大学経営が抱える構造的な問題を,第3部では,…

日本教育社会学会編(2018)『教育社会学のフロンティア2:変容する社会と教育のゆくえ』(岩波書店)を読了

教育社会学の学問としての歩みを紹介した第1巻を踏まえて,教育社会学のトピックがわかりやすく紹介されている。 取り上げられているテーマとしては,具体的には,教育格差,能力巻,職業観,教師,学校問題,ジェンダー,若者論,子ども,ニューカマー,ネ…

伊神満(2018)『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』(日経BP社)を読了

本書はご存知,クリステンセンによる『イノベーションのジレンマ』を,経済学的見地から実証的にサポートしたものである。 クリステンセンによるそれは, 「テーマと事例は面白いが、理論も実証もゆるゆるだ。経済学的に煮詰める必要がある」 からである。 …

カール・R・ポパー(大内義一・森博訳)(1971)『科学的発見の論理(上)(下)』(恒星社厚生閣)を読了

自分の中で夏の課題図書にしていた標記の本を読了した。 有名な反証可能性概念は早くも上巻の第1章で登場する。 反証可能性とは,「経験的科学体系にとっては反駁されうるということが可能でなければならない」(p.49)ことを指すが,この前提には,反証可能…

山本勲(2015)『実証分析のための計量経済学:正しい手法と結果の読み方』(中央経済社)を読了

標記の本を読了した。 今まで読んだ統計関連の中でもかなりわかりやすい。 おそらく,「実証」に焦点をあてて,具体的とともに解説してくださっているからだと思う。 その目的から,rやstataのコードの記載はない。数式は多少ある。実証分析のための計量経済…

ウェイン・C・ブース他著(川又政治訳)『リサーチの技法』(ソシム)を読了

本書は,ハーバード,イェール,シカゴ等の大学でレポート/論文執筆を学ぶ学生のための参考図書,"The Craft of Research"の和訳である。 この手の書籍は定期的に読みたくなるのだが,大学院でも学部でも,レベルを問わず参照しやすいテキストであると感じ…

石黒格編著(2014)『改訂 Stataによる社会調査データの分析―入門から応用まで―』(北大路書房)を読了

標記の本を読了した。 Stataを用いてマルチレベル分析を行うために購入した。 社会調査を念頭に置いた本で,大変参考になった(たとえば,架空の調査票が添付されており,それに基づいた分析が展開されているなど)。改訂 Stataによる社会調査データの分析: …

アメリカ心理学会(APA)(前田樹海・近藤裕之・田中建彦訳)(2011)『APA 論文作成マニュアル[第2版]』(医学書院)を読了

標記の本を読了した。 自分が投稿するジャーナルでは,とりわけ統計量の記述等について明確なルールが定められていないことが多い。 そこで,本書で勉強しようとしたわけである。 そういう意味でいうと,第4章で統計で使用する略語と記号,第5章で結果を表示…

菊澤研宗(2011)『改革の不条理:日本の組織ではなぜ改悪がはびこるのか』(朝日文庫)を読了

標記の本を読了した。 あなたもなぜ,「この組織では,このようなバカな(’不合理な)ことが行われるだろう?」と思うことがあるだろう。 本書は,むしろ実はそれは個人が合理的に行動した結果であることを,新制度派経済学の側面から描くものである。 筆者…

盛山和夫(2013)『社会学の方法的立場:客観性とはなにか』(東京大学出版会)を読了

標記の本を読了した。 本書は,「社会学はいかにした『学問』たりうるか」(まえがき)という問いにもとづき,社会学の方法的立場についていくつかの側面から照射したものである。 章立ては以下のとおり。 1章 リスク社会における事実性と反照性 1 リスク社…

コンラート・パウル・リースマン(斎藤成夫/斎藤直樹訳)(2017)『反教養の理論:大学改革の錯誤』(法政大学出版局)を読了

標記の本を読了した。 本書は,オーストリアの哲学者による新自由主義的大学改革の批判本である。 章立ては次のとおり。 第1章 億万長者になるのは誰か、あるいは知っておかなければならないことのすべて 第2章 知識社会は何を知っているか? 第3章 教養・半…

盛山和夫(1995)『制度論の構図』(創文社)を読了

標記の本を読了した。 構成は次のとおりである。 第1章 制度という問い 1 行動様式と構想力 2 新制度学派 3 市場と組織 4 組織とは何か 5 制度論の課題 第2章 パーソンズにおける秩序問題 1 功利主義的社会理論 2 「秩序問題」のイメージ 3 秩序問題の認識論…

デヴィッド・グレーバー(酒井隆史訳)(2017)『官僚制のユートピア:テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則』(以文社)を読了

標記の本を読了した。 本書は文化人類学的な視点から官僚制の強化と両義性を描く。 とりわけ第3章は「規則(ルール)のユートピア、あるいは、つまるところ、なぜわたしたちは心から官僚制を愛しているのか」というタイトルが示すように,我々は結局のところ…

新堀通也(1966)『学歴:実力主義を阻むもの』(ダイヤモンド社)を読了

標記の本を読了した。 本書は,ラベルと実質という2つの側面から「学歴」にスポットライトをあてるものである。 学歴主義の将来として,(1)企業や社会動向から見れば,マス化によって高学歴は必要条件にはなるが十分条件ではなくなる,が,(2)進学傾向か…

中西のりこ・仁科恭徳編著(2018)『グローバル・コミュニケーション学入門』(三省堂)を読了

標記の本を読了した。第1章では,「グローバル・コミュニケーション学」の定義づけ( 「誰に、どんな情報を、どう伝えるか」「誰が発信した、どんな情報を、どう受け取るか」を考える学問)が行われるが,まずその前段階として「グローバル」と「コミュニケ…

桑山敬己編(2016)『日本はどのように語られたか:海外の文化人類学的・民俗学的日本研究』(昭和堂)を読了

標記の本を読了した。 本書は,文化人類学や民俗学の領域で日本が海外でどのように研究されてきたかを渉猟したレビュー要素を含んでいる。 前提が共有できないのでところどころ読むのが苦しい箇所もあったが,たまにはこのように普段読まない領域の本を読む…

東洋経済新報社(2018)『週刊東洋経済 特集:大学が壊れる』(東洋経済新報社)を読了

発行は2月であったが,買うだけ買って拝読していなかった標記の雑誌を読了した。 「強い私大50 危ない私大100」というところを拝見して,やはり医学部をもっている大学の病院収入と,法人単位の会計を統制しながら,学校(大学)単位のパフォーマンスを描く…

水田宗子(2017)『奪われた学園』(幻冬舎)を読了

標記の本を読了した。 本書は,城西大学の前理事長が学園を乗っ取られたことを報告したルポである。 片方だけのお話を全面的に信じることはもちろんできないが,大学関係者としてこうした事態は想像できうるな,と思いながら読んだ。奪われた学園作者: 水田…

田中隆一(2015)『計量経済学の第一歩:実証分析のススメ』(有斐閣ストゥディア)を読了

標記の本を読了した。 政策の効果を測定する方法について,計量経済学の視点から丁寧に解説されている。 Stataの勉強をしつつ読んだが,実際のところソフトの使用方法はほとんど明記されていない。 Stataを使い慣れた頃に舞い戻るのが良いのかもしれない。計…

松浦寿幸(2010)『Stataによるデータ分析入門:経済分析の基礎からパネル・データ分析まで』(東京書籍)を読了

標記の本を読了した。 本書は,パネル・データ分析の入門書として結構前に友人から紹介いただいたが,積読していたものである。 ありがたいことに広島の研究費でもっとも高いバージョンを購入いただいたので,実際に触ってみた。 SPSSからRに移行しなければ…

大学行政管理学会大学事務組織研究会編(2018)『大学事務職員の履歴書』(学校経理研究会)を読了

読後の感想 標記の本を読了した。最近はうまく貢献できていないが,大学行政管理学会にお世話になってきた自分は買って読まねばなるまいと思ったのである。 大学行政管理学会の「重鎮」9名による回顧録が収録されている。 おそらくこの手の本によくある批判…

ロナルド・ドーア(2014)『幻滅:外国人社会学者が見た戦後日本70年』(藤原書店)を読了

本書は知日家の社会学者ドナルド・ドーアが自身の日本のかかわりの歴史を振り返るとともに,近年の日本の体制を批判するものである。 批判の対象としては,「株主主権」のコーポレート・ガバナンス,官僚制度改革,アベノミクス,外交等,偶然にもごく最近に…

友枝敏雄・浜日出夫・山田真茂留編(2017)『社会学の力:最重要概念・命題集』(有斐閣)を読了

標記の本を読了した。 本書は,社会学の方法,概念構成(ミクロ社会学,メゾ社会学,マクロ社会学),命題構成(メカニズム,トレンド)の3部建てで,社会現象を分析するための「力」を提供しようとするものである。 項目としては70あり,それぞれが2ページ…